飲食店営業許可
“飲食店営業許可”は、時間と手間を惜しまなければ、行政書士などの専門家の力を借りずとも、自分で取得することはそう難しくはありません。
また宮城県(石巻市・塩釜市・多賀城市・大崎市・名取市・岩沼市など)の飲食店の営業許可を持っていても、仙台市内で飲食店を営業するためには、仙台市の飲食店営業許可が必要です。
以下、手続に必要な書類から図面の書き方、許可の取得後にしなければいけないことを紹介していきます。
(1) 飲食業許可でどの様なお店を開くことができるのか
飲食店許可では営業せきるのはラーメン店、レストラン、焼肉店、弁当の製造販売、居酒屋、バー、スナックなど。
ただし、その中でも、ふぐを出すには「ふぐ調理師」の免許が必要だったり、パンを生地から焼いて作るには菓子製造業の許可が必要だったり、特別な資格が必要な場合がありますので、事前に保健所に相談し、それが可能なのか判断を仰ぐことが重要です。
その他、バー・居酒屋などは深夜0時以降にお酒を提供することはできませんし、キャバレーやキャバクラなどの「社交飲食店」と呼ばれるお店は、無許可で「接待」を伴う営業をすることは出来ません。この様な営業を行う場合には、風俗営業許可や深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届をする必要があります。
(2) 人的要件
次の2つのいずれかに当てはまる人は、残念ですが飲食店営業許可を取得できません。
- 食品衛生法に違反して刑に処せられたことがあり、かつ刑の執行が終わってから2年経っていない人。
- 食品営業の許可を取り消されてから2年経っていない人。
(3) 施設要件
飲食店はどんなお店ででも自由に開業できるというわけではなく、 当然に一定の基準が設けられています。お店が清潔に保たれているのは当然のこと、流しの数や手洗いの位置、床や壁の材質、客席の明るさなど、多くの点に制約があります。
はじめから飲食店営業許可を取る予定がお有りなのであれば、内装工事のやり直しをする目に遭わない様に、工事着工前に店の図面を持って管轄の保健所の職員にチェックをしてもらうのが肝要です。(宮城県の管轄はこちら)
以前、別の飲食店が入っていたテナントを、次の店がそのまま利用することがあります。いわゆる「居抜き」といわれる物件です。
前の飲食店が営業許可をもらっていたからといって、次の店も問題なく許可が下りるとは限りません。 施設の基準は、従業員の人数や食品の取扱量などによって変わるものですし、前の飲食店が、営業許可取得後に、勝手なリフォームを施している場合もあるからです。
(4) 食品衛生責任者
飲食店を営業するには、施設ごとに食品衛生責任者を設置しなければいけないことになっています。(1店舗1名)
これは一定の資格を持った人物でないとなれません。たとえば調理師や栄養士といった資格です。ただし、この様な資格がなくても、食品衛生協会が行っている講習(養成講習=1日)を修了すればなれますので、そんなにハードルは高くありません。
食品衛生責任者は未成年者でもなれるのでしょうか?
一般的な県食品衛生協会では、養成講習の受講資格を15歳以上(中学生は除く)と定めていますので、例えば16歳の少年でも責任者は一応務まるように思えますが、これは「講習を受けて修了証をもらえる年齢」であって、 その修了証を提示することによって、保健所が必ず食品衛生責任者として認めてくれるかとなると別の問題です。自治体によっては、認められなかった実例もある様です。
(5) 申請書類
①営業許可申請書 📃 様式(宮城県) / 📃 様式(仙台市)
誰がどこで営業するのかといった基本的な内容を記入します。
②営業施設の平面図 📃 記載例
③飲食店営業許可申請手数料
宮城県では19,000円です。(仙台市も同額)
宮城中央事務所では、図面の作成サービスを16,500円(税込)で承っております。(許可取得を代行するフルサポートプランはプラス22,000円)
フリーダイヤル 0120 - 522 -509
(6) 提出
書類がそろったら、保健所の窓口へ提出します。
郵送での提出は認められないので、管轄の保健所まで出向かなければなりません。
提出するタイミングとしては、お店の工事完成予定日の10日~2週間前ぐらいが良いでしょう。
例えば、お店の完成の1ヶ月も前に提出してしまうと、その間保健所を待たせることになりますし、逆にあと3日前に提出しても、保健所はすぐに検査に来ることができませんから、必然的にこちら側の開店が遅れてしまうことになるからです。
(7) 保健所職員による施設検査
書類を提出すると、保健所の職員が施設の検査に来ます。この時、お店の経営者の立ち会いが必要になります。
お店の設備が食品衛生法で定める基準を満たしているかをチェックされます。その基準は全国同一ではなく、 都道府県ごと市町村ごとの条例によって違いますが、概ね次の通りと考えられます。
- 面積・・・施設は、取扱量に応じた広さを有すること。
- 床・・・調理場の床は耐水性材料(タイルやコンクリート)を使用し、排水が良く、清掃し易い構造であること。(客室においては木床でも問題ありません)
- 内壁・・・施設内壁は、床から1m程度の高さまでは、耐水性材料又は厚板で腰張りし、清掃しやすい構造であること。
- 天井・・・施設の中が暗すぎてはならず、作業場(調理場)の明るさが50ルクス以上でなければなりません。ただ、50ルクスという照度は、かなりに薄暗いものですので、大抵の施設は大丈夫だと思われます。ちなみに客室の明るさは10ルクス以上とされ、基準が緩くなっています。
- 換気・・・施設に、ばい煙、蒸気等の排除設備が設けられている必要があります。換気扇を付けろということですが、換気扇はシャッターが付いた構造のものでなければなりません。また、客室と作業場の両方に設置しなければいけません。
- 防鼠、防虫・・・施設に鼠・昆虫等の防除のための設備が設けられていなければなりません。 網戸や換気扇のシャッター、排水口の金網などを付けろということです。
- 更衣室・・・従事者の数に応じた、清潔な更衣室又はロッカーを作業場外に設ける必要があります。
- 戸棚・・・取扱量に応じた原材料、食品、添加物並びに器具及び容器包装を衛生的に保管することができる設備が設けられている必要があります。
- 計器類・・・冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計及び圧力計を備える必要があります。冷蔵庫に温度計を入れるという点が要注意です。
- 洗浄槽・・・2槽以上の洗浄槽を設置する必要があります。ただし、『自動洗浄設備のある場合又は食品の販売に付随するものであって、当該食品の販売に係る販売所の施設内の一画に調理場の区画を設け、簡易な調理を行う場合で衛生上支障ないと認められるときはこの限りでない』とされ、自動食器洗い機がある場合は1槽で構わないことになっています。
- トイレ・・・トイレは、作業場に影響のない位置及び構造である必要があり、従事者に応じた数を設けなければなりません。また、専用の流水受槽式手洗い設備及び手指の消毒装置を設ける必要もあります。
※検査で施設基準に適合しないところが見つかった場合は、後日再検査となります。
(8) 許可証交付
適合が確認された場合、許可証が交付されます。検査から許可証が交付されるまでの期間は、概ね1週間~10日ほどです。
(9) 許可後
許可証交付後は何もしなくていいかというとそうではありません。
①更新申請
営業許可証は5~8年の有効期限が定められています。期限が切れる前に、余裕を持って更新の申請をしましょう。
②変更届
開業時に申請した事項に変更があった場合は(店名の変更や経営者の氏名変更など)、その都度、保健所に変更届を提出します。
③廃業届け
お店を辞める時には、廃業届けを提出しなければいけませんし、お店を移転する場合は、一度廃業届けを出してから新たに営業許可を取り直すという手続きが必要になります。
④食品衛生責任者の定期講習
自治体によっては、食品衛生責任者が定期的に講習を受けることを義務付けています。その場合は、必ず受けるようにして下さい。